すべてはアレルギー症状から
3年半前の秋のことです。
父が他界してから、忙しく何となく体があちこち不調をきたすようになっていました。
肩こりが激しくなったり、もともと悪い股関節の調子が悪くなったりと小さな不調の連続でした。
一番厄介だったのは今までそんな症状に悩まされることはなかったのに、突然アレルギー性鼻炎の症状が出始め、始めはただの季節性のアレルギー性鼻炎だったのが通年制のアレルギーに変わってしまい、季節問わず鼻が詰まったり、喉にきたり、目が痒くて仕方なかったり、とアレルギーの症状に悩まされることになったのです。

近所の耳鼻科でアレルギーの薬を処方してもらうと、とりあえずは治まりますが、飲まなければ全く良くならず困り果てていました。
たまたま主人の妹がその夏に帰省してきた際、同じようなことを言っていましたが、「ウォーキングして汗をかくようになってからアレルギーの症状が軽減された」と話していたのを思い出しました。
たしかに、その時通っていた鍼灸院の先生にも
「軽い運動で血の巡りを良くすることで解毒し、体質改善にもつながるから、なにか運動を始めてみてはどうですか?」
そんなことを言われたと思います。
私はどちらかと言えばやせ気味でしたが、更年期年齢に入った40代の半ばくらいから少しずつ太り始めていました。
それでも、40キロ代の半ばくらいの体重だったため、「運動」して痩せるほどのことはないから……。
そんなふうに「運動」することを後回しにしていたのです。
が、更年期年齢にも突入していることだし、「運動」をやってみるか!
そんな思いから、暑くてうだるような夏も終りやっと涼しくなり始めた秋ごろ、娘と2人でウォーキングを始めることにしました。
ウォーキング開始

最初は15分くらい近所をゆっくり歩く事からはじめ、だんだん時間も距離も増やしていきました。
股関節にも良いかも!?
『歩くことで股関節の周りに筋力がつき、腰痛や肩こりも軽減される』
とインターネットの健康情報サイトに多数書かれていたこともあり、がぜんやる気がでてきたのです。
「もっと、距離を伸ばそう!」
娘と2人でさらに距離を伸ばし、少し坂道を歩くコースも入れたりして、2日に1回のウォーキングが2ヶ月近く続いたのです。
「やればできるやん!私たち。」
「こんな続いたん初めてちがうか?」
娘が調子が良いことを言って2人で笑った時のことでした。
左の耳の奥で一瞬自分の笑った声が何となく反響したような、気持ち悪い状態になったのです。
「あれ?何やろう?」
歩調を緩め、左の耳に指を突っ込んでいる私に気づき、少し前を歩いていた娘が振り返りました。
「お母さん?どうした?腰痛くなった?」
私は気のせいかなと思い
「うん、大丈夫。」
そう言って早足で娘の横に並びました。
鼻水が原因
ある地点まで行って折り返すとき、通り沿いに大きいマンションの建設現場があり、土が掘り返され下水の工事がされていてそこを通った途端、強い下水の匂いに2人とも急にくしゃみと、鼻水がズルズルし始めたのです。
「うわっ!臭い。アカン私。刺激臭に弱いねん。」

そんな風に言いながら鼻と口を覆い始めた娘。
私も涙目になり、鼻がグズグズし始めました。
鼻を何度もすすりながら、道を迂回して家路に着いた時、また自分の声がこもるような、ちょうど耳に水が入りこもった感じと自分の声が「ワーン」と響くような感覚が左耳の奥でし始めたのです。
気持ち悪くて今度は左の耳の上あたりの頭を手のひらで「ポンポン」と叩いてみました。
そうすると、耳に水が入ったような「ボンボン」という音が耳の奥でしたのです。
「耳がおかしいわ。」
そう言ってストレッチをしている娘に言いました。

「左の耳を叩くとボンボンって水が入ったような音がするの。何かな??」
「えっ!?何それ?大丈夫?」
娘が私の頭をトントンっと軽く叩きました。
「どう?ボンボンいってるん?急にか?昨日、お風呂で水入ったまんまやったとか。」
「いや~。知らん。自分の声も何か反響するみたいな感じかな……。」
そう言いながら水が入った時にするように右耳を下にして片足でトントン飛んでみました。
また、右の耳を下にするよう体を傾けたり前屈したりしたのです。
すると、耳の違和感は少しマシになった気がしました。
「なんか、大丈夫みたい。耳傾けたら治った気がするわ。水入ってたんかな……。」
「いや、ちゃんと病院行った方が良いって。ヤバくなってからでは遅いやん。」
昔長男が耳のトラブルになったことを娘は思い出し、耳鼻科に行くようしつこく訴えてきました。
一先ず、その日は耳の違和感はおさまったようでした。
評判の良い大きな耳鼻科へ

翌日、自営業をしている主人の事務所に行き仕事をして、少し早目に帰宅し夕食の準備をしている時に、何となくまた左の耳の上を「ポンポン」っと軽く叩いてみました。
すると、耳の奥で「ボンボン」とやっぱり水が入ったような変な感じがしたのです。
さらに、「あーあーあー」と声を出すと、こちらも反響した感じがしました。
「何だろう……。」痛くもなく、痒い感じでもないけど耳の中が何か違和感があるのは確かでした。
その日は、体のメンテナンスを兼ねて行く鍼灸の日、そこで鍼灸の先生にそのことを話したのです。
すると、「中耳炎になってるのかもしれんから、耳鼻科に行った方が良いね。それにもしかしたらストレスで耳に不調がおこる場合もあるからね。」
「放っておいて難聴にでもなったら困るから早めに受診した方が良いですよ。」
そんなことを言われたので、その日は気になってずっと耳の上を「ポンポン」叩いたり、「あーあーあー」と声の反響を確かめたりしていたのです。
次の日、家から10分くらいのいつもアレルギーでお世話になっている耳鼻科に行こうかと思ったのですが、長男が安易に耳鼻科を選び後々面倒なことになった経験があるため、少し遠くても、混んでいても皆の評判が良い耳鼻科まで車で行くことにしたのです。

少し遠く、しかも混み合っている耳鼻科は覚悟がいるのです。
そのことは、過去に経験済みでしたので、その日は午前中行くため、主人の事務所へは休むことを告げていました。
午前1番で行ったのにもうすでに、15、6人の患者が待っていました。
問診票を書いて待つことに。
午前中だから幼稚園のカバンを持った子供や、お年寄りがとても多く待合室やにぎやかでした。
私は、待っている間携帯で「耳に水が入った感じ 病気」や「耳が詰まった感じ」など耳に関する情報や経験談を読んでいました。
自分と同じようなことを相談している人の多いことに驚きましたが、あくまでも症状が似ているのみで、実際は診察してもらわなくては自己判断して油断してはいけないことが書かれていました。
中耳炎と後鼻漏(こうびろう)
30、40分くらい経った頃だったと思います。名前が呼ばれました。
中にまた待合室があり、更にそこで待っている間、そして診察室から呼ばれる声がした時、なぜかドキドキしました。
「面倒なことになったら嫌だな……。」
そんな思いで医師の前に座ったのです。
「どうしましたか?耳が詰まった感じがするのですか?」
そう言われ、先日からの症状を細かく説明しました。
「じゃ、耳の中と鼻、喉を診ますね。」
そう言って医師が順番に診察していったのです。
「鼻と耳にカメラを入れるけど我慢してくださいね。」

そう言って先に電気とカメラがついた黒いチューブのようなものを取り出してきました。
耳、喉は何の抵抗もなくすんなり終わりましたが、鼻にカメラが入るときは力が入りました。
「ハイ。我慢してね。少し口をイーとして下さい。ハイハイ、力抜いてね。ゆっくりゆっくり。もう、終わりますよ。」
そう言うものの、すぐには終わりませんでした。
涙と鼻水が出て看護師さんがテッシュをくれたので拭いていると、
「左の耳が中耳炎になってますね。耳の中が赤くなってグチュグチュしていますね。」
「中耳炎ですか?」
「そうです。それにアレルギーも出ていて後鼻漏(こうびろう)で喉も赤くなっているため抗生剤も一緒に出しておきますね。」
※後鼻漏(こうびろう)とは、鼻水が喉の方(鼻咽腔【びいんくう】側)に流れ出ること
聴覚検査

「耳が詰まった感じがするのはそのせいなんですか?」そういうと、
「そうですね。聴覚などの検査もしときましょうか。」そう言われたのです。
そこからさらに1時間くらい待ったでしょうか。
聴覚などの検査をするための部屋に連れて行かれさまざまな聴覚検査をしました。
普通の「ピー」という音を聞いて行う聴覚検査を複雑にしたようなバージョンの検査が、30分くらい続きました。
「疲れた……。」そんな思いで更に待つと、医師より検査データを見ながらの説明がありました。
「難聴が疑われたのですが全く問題ないですね。とりあえず薬を飲んで様子を見て下さい。」
そう説明され少し安心しました。
薬で一旦は治まるも…

それから、処方された抗生物質とアレルギーの薬、喉の炎症の薬を5日間ほど飲みました。
耳の方も何となくマシになったような気がしたのです。
耳の後ろを叩くと「ボンボン」となっていた音も少し小さくなった感じでした。
でも、薬が飲み終わり、それから何日かしてまた急に自分の声が響くような感覚になったのです。
「えっ!?まだ治ってないの?」
何度も「ポンポン」叩くのですがやっぱり「ボンボン」響き、自分の声が響くような変な感覚になったのです。
気になりだしたら止まりません。
夜診でまた、耳鼻科に行くことにしました。
夕食は軽く用意をして各々で食べてもらうことにして出かけたのです。
耳がこもり、頭を下げるとマシになり、首や肩が凝る

5時からの夜診は昼間よりも混み合っており、多分1時間半ほど待った頃に名前を呼ばれました。
状況を話すと医師は意外なことを言いました。
「耳がこもった感じがした時、自分の声が響いたように聞こえたのですね?例えば、頭を下にしたらマシになったりした?」
そうそう!その時頭を「ポンポン」すると水が入った感じにはならなかったことをつげました。
「そして、凄く首や肩が凝ったりしてませんか?」
そうそう!鍼灸も行ってるほど。
そんなやり取りをしたあと、また検査をすることになったのです。
そして、長く待って呼ばれたのです。
「耳が詰まったような感覚や、こもったような感覚は耳管狭窄症か、耳管開放症という耳の病気のどちらかでしょう。どちらも、似たような症状と原因でなるのですが、違いは耳管開放症はあなたが言うように自分の声が反響したように聞こえるのが特徴です。」
「耳管開放症ですか……。」
確かに、ネットでも書いてあったのを思い出しました。
「扁桃炎になったり、アレルギー性鼻炎、それに年齢的にも更年期年齢でもあり、ストレスや疲れなど体の不調が多いときになるのです。」
なるほど……。確かに、全部当てはまる。
耳管開放症なんて変わった名前の病気だな~っとネットで見ながら思っていたのです。
私の場合聴覚や、その他の検査で異常が見られなかったので経過観察のような感じで行くことになりました。
でも、この違和感をなんとかしてほしい!そうお願いすると、ビタミン剤を処方され、もしそれでもだめなら安定剤のようなものも出してくれるとのことでした。
その日は夜の10時も回る頃、ようやく病院を後にできたのです。
今でも、耳の横を叩くと「ボンボン」と音がします。
あの後耳鼻科で薬を処方してもらっていましたが、昨年から、更年期の症状もあったため内科の医者にかかり、耳の症状と耳鼻科での診察結果を伝えると、安定剤を処方してくれるようになりました。
そして、月2回プラセンタ注射もしているためかなりマシにはなってきました。

それでも、肩こりが続いたり、疲れが溜まってくると耳の「ボンボン」は強くなります。
でも、なるべく気にしないようにしています。
耳の病気は、ストレスや女性特有の更年期、肩こりが原因になるなんて思いもしなかったためビックリしました。
いつのまにか左の耳に指を入れて耳の聞こえが悪いのをチェックしてしまう動作はが、すっかり癖になってしまいました。
この耳管開放症や耳管狭窄症で何の治療もせず、ただ慣れるよう努めている人がとてもたくさんいること最近知りました。
治療方法が人によって違うため、ハッキリとした治療方法がないというのもこの病気の特徴のようですね。
私は以前診断を受けたことがあるメニエール病も時々顔を覗かせることがあるため、重なった時は一日寝込むこともあります。
それでも、耳は聞こえているし、気にしなければ耳詰まりを忘れることができます。
適度な運動、そしてストレスを溜めないようにすること、おかしいなと思ったらすぐに病院に行くことを心掛けることが、この何ともしっくりこない耳の病気と付き合っていく秘訣なのかもしれないと思っています。