強いめまいとともに、吐き気やおう吐などの症状をともなう病気です。めまいは数日から数カ月続きますが、耳鳴りや耳の詰まった感覚(閉塞感)、耳が聞こえにくくなる(難聴)などの症状はなく、その点が他のめまいを伴う疾患と異なります。回転するようなめまいを感じ、眼振(がんしん:目の玉が勝手に動く症状)を伴います。めまいは初めに症状が現れた時が最も強く、姿勢をかえたり、歩行している時などにもふらつきを強く感じますが、徐々に軽減します。
診断方法
①眼振検査
眼振による目の動きはごくわずかであるため、眼振があるかを判断する際には眼振診断用の眼鏡(Frenzelの眼鏡)を使用します。前庭神経炎の場合には水平方向(左右)に眼球が振れるのが特徴です。
②温度眼振検査
健康な人は耳の外側から耳の中に暖かい水や冷たい水を入れると、その温度変化に反応して眼振がおこります。(2分~3分)この眼振の反応によって三半規管の機能が正常かどうかを判断する検査が温度眼振検査です。前庭神経炎の場合には、この検査での眼振反応が通常より著しく低くなったり、無反応になったりします。
前庭神経炎症の原因は?
前庭神経は鼓膜のさらに奥にある渦巻き状の前庭から脳に向かって伸びる神経で、この神経に炎症がおこることから発症するめまいと考えられています。音そのものを感知したり集めたりする部位とは別であることから、音の聞こえ方に変化は現れません。
前庭神経が炎症を起こす原因ははっきりと分かっていませんが、前庭神経炎によるめまいの症状が現れる数日まえに、喉の炎症を患っている人が多いことから、のどからのウイルス性感染が原因となって起こる炎症である可能性が高いと考えられています。
治療方法は?
とくに強いめまいを伴うことが特徴であることから、治療方法としては鎮静剤 / ステロイド剤(抗炎症剤)などを服用して炎症・吐き気を抑えながら安静にするという方法が一般的です。吐き気があって水分の補給が難しい場合には点滴も有効です。
症状に気付くのが早く、なおかつ薬を服用しながら治療した場合には数日でめまいが解消することが多いですが、対処が遅れた場合には数週間めまいが続く場合があります。
予防するには?
前庭神経炎の原因のひとつに喉の炎症をきっかけとするウイルス性感染があることから、喉からの感染症を防ぐ / 喉からの感染症を長引かせないことで前庭神経炎を防ぐことができると考えられています。